ドローン国家資格が失効しても再取得できる制度|返納者向け講習とは?

ドローン国家資格の失効後再取得と返納者向け講習を解説するJMAニュースのアイキャッチ 国家資格・講習案内

編集長の上高です。本日は、ドローン国家資格「無人航空機操縦者技能証明」が有効期間満了により失効した場合の再取得制度について解説します。

技能証明には有効期間があります。では、更新を行わず失効してしまった場合、もう一度すべてを最初からやり直さなければならないのでしょうか。

現在は、一定の要件を満たす方について、登録講習機関で所定の講習を修了することで再取得を目指せる仕組みが設けられています。正式名称は「技能証明書返納証明書交付者講習」です。

更新講習とは別の制度であり、対象者、講習内容、修了後の手続きにも違いがあります。失効後の再取得を検討している方は、まず制度の対象に該当するかを確認することが重要です。

技能証明が失効した人を対象とした再取得の仕組み

国土交通省の「無人航空機操縦士更新講習及び技能証明書返納証明書交付者講習実施要領」では、技能証明書返納証明書の交付を受けた人のうち、直近に受けていた技能証明の有効期間満了日から3年を経過していない人を対象として、登録講習機関が「技能証明書返納証明書交付者講習」を実施できることが定められています。

つまり、更新を行わず技能証明が失効した場合でも、一定の条件を満たしていれば、再取得のための講習制度を利用できる可能性があります。

ただし、失効した技能証明が自動的に復活する制度ではありません。対象要件を満たしたうえで講習を修了し、その後に必要な再取得手続きを進める必要があります。

通常の「更新講習」とは別の制度です

ここは特に混同しやすいポイントです。

技能証明がまだ有効な人が、有効期間を延長するために受講するのが「無人航空機更新講習」です。一方、すでに有効期間が満了し、技能証明書返納証明書の交付を受けた人が再取得を目指して受講するのが「技能証明書返納証明書交付者講習」です。

無人航空機操縦者技能証明の有効期間は3年で、現在の更新申請期間は有効期間満了日の6か月前から1か月前までとされています。まだ更新できる期間にある方は、原則として失効させずに更新手続きを進めることが大切です。

通常の更新講習については、JMAニュースの「ドローン更新講習とは?対象者・学科実地・申請期限を解説【2026年6月版】」でも詳しく解説しています。

返納者向け講習では何をする?

返納者向け講習は、短時間の説明を聞くだけで終わるものではありません。学科講習と実地講習があり、さらに講習修了時には確認試験や修了審査が設定されています。

学科講習

学科講習では、技能証明制度の概要、操縦者が遵守すべき事項、最近の制度改正、事故・重大インシデント事例とその教訓、運航ルールや事故防止に関する情報などを改めて確認します。

一等無人航空機操縦士については、カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価など、一等操縦士が留意すべき事項も含まれます。さらに、技能証明の有効期間を更新せず効力を失った人が再確認すべき事項も講習内容に含まれています。

学科講習の合計時間は、一等が105分、二等が80分です。講習終了時には、講習の効果を確認するための修了確認試験が行われます。国土交通省の実施要領では、この修了確認試験は対面で行うこととされています。

実地講習

返納者向け講習では、実際の操縦技能を再確認するための実地講習も必要です。

JMAが対応準備を進めている回転翼航空機(マルチローター)の場合、一等では緊急着陸を伴う八の字飛行を含む操縦演習を行い、二等では異常事態を想定した飛行を含む操縦演習を行います。

最低講習時間は、一等が操縦演習5分以上と振り返り・指導等10分以上の合計15分以上、二等が操縦演習6分以上と振り返り・指導等5分以上の合計11分以上です。

ここで注意したいのは、15分・11分という時間は実地講習そのものの最低時間だという点です。技能証明書返納証明書交付者講習では、実地講習の修了時に、新規に技能証明を取得する場合の実地試験と同様の修了審査を行う必要があります。

修了審査は実機で実施する必要があります。また、直近に保有していた技能証明の限定内容によっては、昼間飛行、目視内飛行、最大離陸重量25kg未満に関する限定変更の修了審査が必要になる場合があります。

講習を修了すれば、その場で国家資格が復活するわけではありません

返納者向け講習を修了しただけで、以前の技能証明がそのまま復活するわけではありません。

登録講習機関が所定の課程を修了した人に修了証明書を交付し、その後に再取得のための手続きを進めます。

国土交通省の登録講習機関事務規程サンプルでは、技能証明書返納証明書の交付を受けた対象者について、学科試験免除に係る有効期間は修了日から3か月、実地試験免除に係る有効期間は修了日から1年間とされています。

そのため、講習を修了した後も、必要な再取得手続きを期限内に進めることが重要です。

なぜ失効後に知識と技能をもう一度確認するのか

ドローンを取り巻く制度や安全運航に関するルールは変化しています。また、資格取得後に操縦機会が減っている場合には、知識や技能を改めて確認する必要があります。

返納者向け講習では、最近の制度改正や事故・重大インシデント、安全運航に必要な事項を確認し、実地講習と修了審査を通じて操縦技能も確認します。

以前に技能証明を持っていたことだけを理由に再発行する仕組みではなく、再取得に必要な知識と技能をあらためて確認する制度として設計されています。

「更新」と「失効後の再取得」を混同しないことが重要

現在、技能証明を保有している方は、まず自分の有効期限を確認してください。

有効期間内であれば「更新」、すでに有効期間が満了し、技能証明書返納証明書の交付を受け、直近の有効期間満了日から3年を経過していないなどの要件を満たす場合は「失効後の再取得」という別の手続きになります。

「技能証明書返納証明書交付者講習」は、すべての失効者が無条件に利用できる制度ではありません。ご自身が対象になるかを確認したうえで進める必要があります。

JMAでも返納者向け講習への対応を準備しています

一般社団法人日本マルチコプター協会(JMA)では、登録講習機関として「技能証明書返納証明書交付者講習」への対応に向けた準備を進めています。

現在は、講習開始に必要な手続きや講習体制等を整備している段階です。そのため、現時点では返納者向け講習の受付開始をお知らせするものではありません。

正式な受付開始時期、受講方法、料金、実施会場等が決まりましたら、JMA公式サイトおよびJMAニュースで改めてご案内します。

まとめ

ドローン国家資格の有効期間を更新せず技能証明が失効した場合でも、一定の要件を満たしていれば再取得を目指せる制度があります。そのための講習が「技能証明書返納証明書交付者講習」です。

返納者向け講習では学科講習と実地講習を行い、学科の修了確認試験と、実地講習修了時の修了審査も必要です。通常の更新講習とは制度が異なり、対象要件や講習修了後の手続きにも期限があります。

JMAでは現在、返納者向け講習への対応に向けて準備を進めています。詳細が決まり次第、JMAニュースでお知らせします。

※本記事は2026年9月時点の国土交通省公表資料等をもとに作成しています。制度・手続きは変更される場合がありますので、最新情報は国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」および「無人航空機操縦士更新講習及び技能証明書返納証明書交付者講習実施要領」をご確認ください。

JMAドローンスクール編集部 編集長 上高寛之