JMAドローンスクール神奈川会場は、相模の大凧まつりの空撮を実施しました。天保年間から続く伝統行事で、14.5m四方・約950kgの「八間凧」が空に揚がる迫力を、上空から記録しています。
催し場所上空の飛行にあたっては、事前に個別申請で飛行許可を取得し、飛行計画の通報、管轄警察署への事前連絡と当日の開始・終了報告を実施。補助者との連携、申請範囲の厳守、事前点検を徹底し、事故なく運航を完了しました。

イベント空撮は「許可・通報・現場運用」で成立する
イベント空撮は、操縦が上手いだけでは成立しません。「飛行許可・承認の取得」「飛行計画の通報」「当日の安全運用」の3点を揃えて、初めて業務として成立します。
相模の大凧まつりのように、多くの来場者が集まり、地上作業もダイナミックに動く現場では、ドローン側の判断ミスがすぐに事故や混乱につながります。そのためJMAドローンスクール神奈川会場では、撮影の前段階で手続きと現場設計を組み立て、当日は「申請した範囲で」「補助者と連携して」「点検済みの機体で」飛行を完了させました。
催し場所上空は「特定飛行」として準備する
航空法の運用では、許可・承認が必要となるリスクの高い飛行を「特定飛行」として扱います。催し場所上空の飛行は、その代表例です。
重要なのは、「飛ばせるか」ではなく「飛ばすために何を揃えるか」で考えることです。現場の合意形成、申請内容、当日の運用まで、一本の線でつなげて初めて安全性が担保されます。
申請範囲を守ることが最大のコンプライアンス
イベント空撮で見落とされがちなのが「申請範囲の厳守」です。今回の運航でも、事前に補助者と飛行範囲を確認し、飛行中は「川側」「観客側」など、現場で誤解が起きない言葉に統一してコールする運用を徹底しました。申請した範囲から逸脱しないことは、単なるルールではなく、事故を防ぐための具体策です。
レポート:相模の大凧まつり撮影概要(神奈川会場)
JMAドローンスクール神奈川会場は、国家資格の登録講習機関として講習を提供するだけでなく、点検・測量、農薬散布、空撮といった実務でもドローンを活用しています。今回は、相模の大凧まつりの撮影に入りました。
伝統行事の背景と「八間凧」の迫力

相模の大凧まつりは、天保年間(1830年頃)から受け継がれてきた伝統行事で、毎年5月4日・5日の二日間に開催されます。なかでも「八間凧」は、14.5メートル四方・約950kgという規模で、毎年揚げている凧として日本一の大きさを誇るとされています。
上空から俯瞰すると、地上の曳き手、凧糸、観客エリア、動線が一枚の絵として理解できます。これは「映える映像」になるだけでなく、主催側にとっても安全管理や運営の振り返りに資する情報になります。

空撮体制(操縦者・補助者・機材)

イベント上空は、地上の状況が刻々と変化します。今回も補助者を配置し、飛行範囲の監視や観客側の状況把握を分担しました。飛行中のコール(言葉合わせ)を事前に決めておくことで、「どちら側に寄っているのか」「一時停止すべきか」の判断を即時に揃えられます。飛行前点検を実施し、「安全な機体で飛行する」ことを運航の前提に置きました。
映像の活用(広報・記録・振り返り)
撮影映像は「相模の大凧文化保存会」に収め、広報と祭りの記録、そして振り返りに活用されます。結果として、今年も事故なく運航を終えています。
飛行前に実施した手続きと関係者調整

イベント空撮で最も工数がかかるのは、実は当日ではありません。飛行前の手続きと関係者調整が、当日の安全を決めます。
個別申請での飛行許可・承認
今回の運航はイベント上空での飛行となるため、事前に個別申請で飛行許可を取得して実施しました。許可を取ること自体ではなく、「許可の前提となる運航設計」を言語化して申請に落とし込むことで、当日の判断がぶれません。
飛行計画の通報(DIPS2.0)と「計画に従って飛ぶ」義務
特定飛行を行う場合、操縦者は事前に飛行計画を国土交通大臣へ通報する必要があります。具体的には国の「ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)」へ入力して通報します。
通報した飛行計画に従って特定飛行をしなければならないという点が重要です。計画の逸脱はコンプライアンス上の問題であるだけでなく、現場の安全設計を崩す行為になります。
警察・主催者との連携(事前連絡/当日報告)
今回は、飛行計画の通報に加えて、飛行場所を管轄する警察署へ事前連絡を行い、当日も飛行開始・終了の報告を実施しました。「誰が、いつ、どこで、何をするのか」が共有されていないこと自体がリスクです。関係者連携は形式ではなく、現場の混乱を防ぐ安全対策として機能します。
当日の安全運航:補助者運用と言葉合わせが事故率を下げる

イベント空撮で最も効果が高い安全対策は、補助者を含めた運航体制を組み、現場で迷わない「言葉」と「判断基準」を先に決めることです。JMA神奈川会場では、補助者と事前に情報共有を行い、飛行範囲の確認とコールの統一(川側、土手側、観客側など)を徹底して飛行を実施しました。
飛行範囲の再確認とコール設計
「どこまで飛ぶか」を紙と口で二重に固めることが、申請逸脱とヒヤリハットを同時に減らします。飛行前に範囲の境界(目印、方向、危険物の位置)を共有し、飛行中は補助者が「境界監視」を担う体制を敷きました。補助者とのコールは「川側」「土手側」「観客側」のように、現場全員が一瞬で理解できる言葉に揃えています。
観客・第三者の動きへの対応
イベント空撮では「第三者が入ってくる前提」で運航する必要があります。観客が撮影のために前に出る、子どもが走る、関係者が機材を運ぶなど、予告なしの動きが起きます。補助者と連携し常に注意を払い、第三者に事故が起きない運航を徹底しました。
事前点検と中止判断
「飛ばさない判断」を準備しているチームが、最終的に最も良い撮れ高を持ち帰ります。飛行マニュアルの遵守と事前点検を実施。点検項目と中止基準を文書化し、操縦者と補助者が同じ基準で判断できるよう揃えることが重要です。
法人が押さえるべきイベント空撮のリスク管理
法人のドローン活用で最優先すべきは、「飛行の可否」ではなく「監査に耐える運航プロセス」を作ることです。許可や通報、連携が不十分だとクレーム・炎上・再発防止対応に発展し、事業継続に影響が出ます。
コンプライアンス:許可・通報・記録はセットで管理する
イベント空撮では、個別申請での飛行許可・承認、飛行計画の通報、関係者連絡をセットで実施することが土台です。DIPSの操作マニュアルでは、審査に一定期間を要するため10開庁日以上前の提出、さらに不備による遅れを想定して3〜4週間程度の余裕を推奨しています。イベント案件は「早めに作って、修正で合わせる」が現実的です。
レピュテーション:苦情は「飛行そのもの」より「見え方」で起きる
イベント現場では安全でも「不安に見える運航」が苦情になります。関係者と連携し、立入管理や運航体制を見える形で整え、必要に応じて説明できる準備をすることが重要です。
事故時の責任分界と保険
法人案件は事故ゼロより「事故時に何をするかが決まっている」ことが重要です。操縦者が負う責任、主催者・発注者側の管理責任、撮影チーム内の役割分担、連絡体制を事前に決め、記録として残してください。
国家資格(ドローン免許)一等・二等と、イベント現場で効く「説明力」
国家資格の価値は「操縦技術」だけではなく、関係者に説明できる根拠(制度理解)を持てることにあります。イベント空撮は、主催者・警察・施設管理者・来場者など、関係者が多い現場です。ここで求められるのは「飛ばせます」ではなく、「許可・通報・体制を整えた上で、この範囲で飛行します」という説明力です。
一等・二等の違い:制度上の守備範囲を理解して選ぶ
一等は主にカテゴリーⅢ飛行(有人地帯での目視外飛行=いわゆるレベル4を含む)、二等は主にカテゴリーⅡ飛行(無人地帯での目視外飛行=レベル3、目視内飛行=レベル2など)に対応する技能として整理されています。
現場の要件(第三者上空の扱い、立入管理の方法、目視内外、夜間など)を棚卸しし、必要な区分と限定解除の要否を先に決めるのが、資格取得で失敗しない手順です。
実地試験の内容:何が見られるかを知ると、現場運用も強くなる
実地試験は、机上試験・口述試験・実技試験で構成され、飛行計画作成の理解、飛行前後の点検・記録、事故・インシデント対応、機体操作の技能などが確認されます。採点は減点方式で、一等は80点以上、二等は70点以上が合格基準です。ここで問われる「点検」「記録」「事故対応」は、イベント空撮の現場でそのまま必要になる要素です。
文化行事の記録を「安全に残す」ことが、ドローン活用の価値を最大化する

相模の大凧まつりのような伝統行事は、上空から俯瞰することで「規模」「動線」「人の連携」が初めて見える場面があります。一方で、イベント空撮は許可・通報・現場運用が一つでも欠けると成立しません。
JMAドローンスクール神奈川会場の運用は、個別申請での飛行許可取得、飛行計画通報、警察署への事前連絡と当日報告、補助者との情報共有、飛行範囲とコールの統一、事前点検とマニュアル遵守を積み上げ、今年も事故なく完了しています。
この「具体策の積み上げ」こそが、法人がドローンを業務に組み込む際に必要な品質です。JMAドローンスクール神奈川会場は、国家資格の登録講習機関、登録更新講習機関としての講習に加え、点検・測量、農薬散布、空撮など実務相談にも対応できる体制を整えています。
資格取得後の業務活用まで見据えたい方は、JMAドローンスクール神奈川会場までお気軽にご相談ください。
JMAドローンスクール編集部 編集長 上高寛之
一般社団法人日本マルチコプター協会(JMA)

